あの夢の続きをもう1度描けたら
まさか、こんなことって……っ
信じられないことが起きて、わたしは目を潤んでトモくんを見た。
「ニゲラの名前の由来は先輩の好きな曲。あとは先輩はダンスを踊ったことがなくて、リードするのが大変でしたよ。でも何よりも楽しい時間でした」
「うそ……っ」
一歩、一歩、ゆっくりと近づく。
「ユキ……なの? トモくんがユキなの?」
「……俺がそばにいるからって言ったじゃないですか」
「……っ、ユキ、ユキ……ユキ!」
伝えたい感情が定まらなくて、ただ名前を呼んでしまう。
トモくん……いや、ユキは「雛乃先輩」と優しく名前を呼んでくれた。
まさか……ユキが目の前にいるなんて。
信じられなくて、夢ではない証拠がどうしても欲しかった。
じゃないと目から覚めた時、わたしは喪失感のあまりどうしたらいいのかわからなくなってしまう。