あの夢の続きをもう1度描けたら
「どうしてトモくんはユキって名乗ったの……? 湯河くんからユキなの?」
「湯河からどうやってユキになるんですか。俺の名前言ってみてください」
「湯河 友貴くん!」
「では友貴を別の読み方を考えてください」
「とも……ゆう……ゆうき……ユキ」
わたしは息を呑んだ。
友貴とかいて友貴っていうこと……?
「昔間違えられたのが印象強かっただけですよ。トラオムって一体どんな場所かわからなかったので一応偽名みたいな感じにしました」
こんな幸せあってもいいのだろうか。
幸せすぎて死んでしまいそうだ。
「だから先輩を見た瞬間、驚きました。髪色と目の色が変わっていてもすぐにわかりました。ヒナノがいたんですから」
心の底から湧き上がった歓喜に堪えきれず、とめどなく溢れてしまった。
拭うことはせずにわたしはトモくんの頬に手を伸ばす。
「…………」
トモくんは慈しむような眼差しで、その手を包んでくれた。
そしてもう片方の手の指でわたしの涙を代わりに拭う。