あの夢の続きをもう1度描けたら

「その、さっきのユキくんっていうの。普通に呼び捨てでいいから、ひとりだけ“くん”付けだと違和感」


先程助けられたりと一番お世話になったユキくんを呼び捨てにするのは抵抗があった。

だから“くん”付けで呼んだけど、本人から呼び捨てにしろと言われたら断れない。


「年もそんなに離れてないだろ。俺は16だから」

「えっ、16なの? わたしの方が上だ。わたしは17」

「じゃあ尚更くん付けいらないじゃん」


だからユキって呼んで。そう催促してくるから、ここはわたしが折れるしかなさそうだ。


「……じゃあ、ユキって呼ぶね!」

「うん」


いざ“くん”を取ると照れ臭いからかもしれないがしっくりこない。だがまあ、次第に慣れてくるだろう。

わたしは沈みかけた太陽を見上げる。


……どこに向かって歩けばいいのかな。

もうこんなに真っ暗だし、どこか寝床になれそうなところあるといいんだけど。

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