あの夢の続きをもう1度描けたら
「うん。忘れるよ。ありがとね」
「別に、さっさとその変な顔どうにかしなさいよ」
「ひどいなー! 本当、柚子って一言余計!」
柚子の黒髪のボブという髪型は中学から変わらない。
目がパッチリと大きく開いて、明るい印象を与える彼女の笑顔はとても愛らしさを感じて、秘かに男子から人気者だ。
「柚子ちゃん! あのさ、さっきの授業でわからないことがあるんだけど」
「さっきの難しかったよね〜! 私もわからないところがあったから説明できるか不安なんだけど……どこ?」
「えっと……ここなんだけど」
こんなに毒舌だった柚子はどこに行ったのかと思うくらいの、この猫の被りようも中学から変わらない。
あまりの可愛さに柚子に話しかけた男子は頰を赤らめ、視線は柚子に釘付けだ。
目の前にいる可愛い柚子は図書委員長で成績優秀というもうひとつの顔を持つ。
その時の柚子は、さっきのわたしの前の態度と180度大きく変わるのだ。
「あはは……」
見慣れてるし可愛いけど、この柚子を見ると失礼だが虫唾が走る。