あの夢の続きをもう1度描けたら
扉が開いていて、その向こうには柚子の彼氏と柚子ではない女の子が抱き合ってた。
これが浮気だと知ったわたしは、特別正義感が強くなくて、正義を振りかざしたい気持ちは一切持っていなかった。
それに正義感振りかざして自分に被害が及ぶのも嫌だ。
見なかったことにしようと足音を消しながら去ろうとした瞬間──
『あ……』
わたしが歩く先に柚子がいた。
真実を伝える方がいいのか、まだ夢を見させる方がいいのか。
その二択に迫られながらも、柚子がいる方へ歩いた。
『雛乃ちゃん! 悠真見なかった?』
『えっと……』
どっちにするか決まる前に、向こうから話しかけられてしまった。
淀んでしまうわたしを見て、柚子は自嘲しながら口を開く。
『悠真、浮気してたでしょ?』
『なんでそれを……っ』
『ずっと前から気付いてたよ。だからいつ振ろうか悩んでたんだよね』