あの夢の続きをもう1度描けたら
目が冴えてるとはいえ、今さっき帰ってきたということはあんまり寝てないんだろうな。
これ以上邪魔しないようにしないと。
「お兄ちゃん、朝ご飯食べた?」
「ううん、まだー」
「もしお腹空いてたら、この雛乃様が食パンを焼いてやろう!」
「お、それは頼もしい。お願いいたす」
「ふふ、らじゃっす!」
お兄ちゃんの返事に思わずクスッとしてしまう。
わたしはよしっと気合いを入れて、キッチンにあるオーブントースターの前に立った。
お兄ちゃんの朝ご飯くらいは作ってあげないとね……まあ、ご飯炊くのと食パンを焼くことくらいしかできないけど。
自分で苦笑いをこぼしていたら、パンが焼けたみたいで、バターとジャムも一緒に机に運ぶ。
「できたよお兄ちゃ……あ」
お兄ちゃんに知らせようとしたら、ぐっすりと無邪気な寝顔が見えた。
「おやすみ、お兄ちゃん」
やっぱり疲れてしまったんだな、と思いながらもわたしは近くにあった毛布をかけた。