あの夢の続きをもう1度描けたら

目が冴えてるとはいえ、今さっき帰ってきたということはあんまり寝てないんだろうな。

これ以上邪魔しないようにしないと。


「お兄ちゃん、朝ご飯食べた?」

「ううん、まだー」

「もしお腹空いてたら、この雛乃様が食パンを焼いてやろう!」

「お、それは頼もしい。お願いいたす」

「ふふ、らじゃっす!」


お兄ちゃんの返事に思わずクスッとしてしまう。

わたしはよしっと気合いを入れて、キッチンにあるオーブントースターの前に立った。


お兄ちゃんの朝ご飯くらいは作ってあげないとね……まあ、ご飯炊くのと食パンを焼くことくらいしかできないけど。

自分で苦笑いをこぼしていたら、パンが焼けたみたいで、バターとジャムも一緒に机に運ぶ。



「できたよお兄ちゃ……あ」



お兄ちゃんに知らせようとしたら、ぐっすりと無邪気な寝顔が見えた。


「おやすみ、お兄ちゃん」


やっぱり疲れてしまったんだな、と思いながらもわたしは近くにあった毛布をかけた。

< 56 / 316 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop