純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
潤んだ瞳に、愛しそうに見下ろす時雨が映る。睡も笑みを浮かべ、ひとつになれた喜びを露わにした。
「睡、愛してる」
「私も……っ」
時雨の動きに合わせて、互いの呼吸が荒くなっていく。その合間に愛の言葉を繰り返し、何度も唇を重ね、彼女の奥深くで熱を交じり合わせた。
やがて限界を迎えた時雨の身体がびくりと震え、律動が止まった。部屋には蜜の匂いと互いの吐息が充満し、曇った窓の向こうの灯りがぼやけている。
胸を上下させる睡は恍惚とした表情で時雨を見つめ、ゆるりと唇を弓なりにする。
「今、はっきり幸せだって感じる……ありがとう、時雨さん」
感謝の言葉と共に、睡は背中に手を回してくっついてくる。
結婚する前、彼女は言っていた。幸せというものがなんなのか、まだわからないと。それを自分が与えられているなら、こんなに嬉しいことはない。
時雨も口元を緩めて「こちらこそ」と返し、脱力した身体で彼女を抱きしめた。
本能に従ったこの結婚は、極上の契約だった。そう確信して、夫婦の証が輝く左手に指を絡める。
月冴ゆる夜に、一心に降り注ぐ愛の雨に濡れ、睡蓮の花は美しく咲き乱れた。