純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
瑛一は紅をひいた唇に口づけを落とし、帯を解く。衿を開いてふくよかな胸を弄り、瞳を細める玉響に少々意地の悪い言葉をかける。
「彼はこうやって優しく触れるかもしれないね。それとも、情事の最中は多少乱暴になるのかな」
「あ……っ、やめて、瑛一さ……」
そんなふうに言われては、嫌でも想い人の顔が過ぎる。快感で目を閉じれば、今自分の身体を愛撫しているのは時雨だと錯覚しそうになる。
身体の相性がいい瑛一との行為は、それなりに気持ちのいいものだった。それに加えて兄を想うと、これまでにない快感を得てしまうことを知る。
瑛一への罪悪感や、時雨への背徳感に襲われながらも、玉響はそうやって自分の心を慰める方法を覚えたのだった。
翌朝、瑛一を見送ったあと、早起きしていた妹女郎の睡蓮と会った。本当の姉のように慕ってくれている、とても純粋で可愛い子だ。玉響も睡蓮のことは大好きである。
「素敵な人だね、瑛一さん」
彼女は後朝の別れを見ていたらしく、うっとりとした様子でそう言った。眠い目をこすっていた玉響は、いたずらっぽく口角を上げる。
「睡蓮はああいうのが好み?」
「そうじゃないよ! 瑛一さんと姉さん、ふたりを見てるのがいいの」