純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
「そっか……時雨さんと結婚したってことは、姉さんとも家族になれたんですよね」
本当の姉のように慕っていた彼女とも家族になっていたとは、とても不思議で素敵な縁だ。今は罪悪感よりも、嬉しさのほうが上回る。
慈愛に満ちた笑みを浮かべる睡に、時雨も口元を緩めて「そうだな、家族だ」と返す。
「でも、俺にとって睡はずっと好きな人だよ」
彼の言葉に、睡の胸は心地よく締めつけられた。家族であることの前提に〝好き〟という想いがあるのだと実感できて、幸せに包まれる。
ほんのり頬を染める睡を時雨は愛おしそうに見つめ、ゆっくり顔を近づける。額に、唇に優しい口づけが降るたび、睡は心が完全に晴れていくのを感じていた。
*
二日後、四片と兼聡が見舞いにやってきた。偶然にもふたりが来る時間が被ったので、三人で景色が見渡せるホールに向かい、椅子に座って話すことにした。
車椅子に乗った睡が、柔らかな冬の日差しを受けながら玉響について打ち明けると、やはりふたりも衝撃を受けている。