純潔花嫁―無垢な新妻は冷徹社長に一生分の愛を刻まれる―
中から鍵を開けてもらって話を聞くと、周りには民家も店もなにもなく、外に出たところでどうしようもないと諦めていたらしい。哲夫は休日しか来ないため、家にあるものを密かに食べて飢えを凌いでいたのだ。
彼女たちも人形同然の扱いをされていたようだが、身体の所々に睡とは違う痣がついていた。手を上げられていたのは明らかで、今の哲夫に睡を渡していたらどうなっていたか、想像するとぞっとする。
もちろん茨はすぐに警察に連絡し、少女たちは無事保護された。今頃、哲夫の身元も割れていることだろう。
「すでに警察が動いています。捕まるのも時間の問題ですよ」
「ぐっ……貴様ぁ!」
般若のような顔をした哲夫が、なにか喚きながら掴みかかってくる。愚かだと睥睨し、時雨は軽やかに身をかわす。
騒ぎを聞いた社員が中へ入ってきたときには、時雨が腕を捻り上げてソファに押さえつけていた。社長としての威厳は見る影もない哲夫の姿に、皆が愕然とする。
悔しげな声を上げる彼を見下ろし、時雨は感情を押し殺した声で言い放つ。