この恋が手遅れになる前に
キスをしながら熱を込めた視線を向けるから、体が金縛りにあったように動かなくなる。涼平くんに見つめられると、まるで捕まえられたような気持ちになる。
「誘ったのは俺だけど、奏美さんは俺に抱かれることに抵抗しなかった」
「…………」
何も言い返せない。涼平くんに身を委ねるのは自分で決めたことだ。
こんなに振り回されるのなら、ただの先輩と後輩のままでいればよかった。今ではそばにいると苦しい。
「この関係が中途半端というのなら俺と本気で付き合ってください」
「でも私じゃ涼平くんには釣り合わないと思うんだけど……」
「じゃあどんな女性なら俺に釣り合うんですか?」
「えっと……涼平くんと年が近くて、自然に甘えられるような可愛げのある子かな。少なくとも私じゃないって……」
そう、涼平くんの誘いにも可愛らしく照れて甘えて懐くような、フワフワした女の子が似合う。
「俺は奏美さんだから好きになったのに」
至近距離で見つめられて逃げたくなる。
「奏美さんしか好きじゃないし、奏美さん以外の女性とは付き合いたいとも思えない。奏美さんから見たら俺は子供で、セックスも……初めてだったからうまくなかったかもしれないですけど……」
「ちょっと待って……初めてだったの?」
「そうですよ……」
「涼平くん童貞だったの?」
「っ! ……そうです……」
顔を真っ赤にして目を逸らす涼平くんに私も戸惑う。
初めてだったのか……。確かに迷うような動きもあったけれど私を勢いで連れ込んで動揺しているのだと思っていた。強引なキスや優しい愛撫は初めてだとは思えなかった。
「ずっと奏美さんに片想いしてたから……女性経験はゼロです……」