そして、僕がみえなくなったら




「勇大、昨日はごめんね」




翌日の昼休み、私はお昼を食べようとしている勇大に声をかけた。



朝一で声をかけられなかったのは、仲裁に伊月がいなかったから。


だから自分から、謝るために声をかけるのに昼休みまで時間がかかってしまった。



「………俺こそ、悪かったよ」



私の謝罪に素直に応じた勇大は、どこか安堵した顔で。

なんだかんだ勇大も、喧嘩したままだったことが気がかりだったのかもしれない。



「それでさ、提案なんだけど」

「………なんだよ」

「やっぱり、今日の放課後さ、旧校舎に行ってみない?ちょっとだけでもいいからさ」



私の提案に勇大はわかりやすくため息を吐く。



「お前なぁー」

「別に勉強しようとは言ってないよ?ただね、一緒に行ってみるだけでもと思って………」



やれやれ、と勇大は頭を抱える。

別に、そんな呆れ顔しなくてもいいのに。



「お前、朝の担任の話聞いてた?」

「え?」



朝は勇大にいつ謝ろうかとか色々考えてて、担任の話は全くと言っていいほど記憶に残ってないけど……。







「これから旧校舎、潰すんだって」








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