そして、僕がみえなくなったら
「は?え、何で?!」

「床板腐ってるし、あぶねーから」

「でも、旧校舎に行く人なんて……」

「いるじゃん、お前」



勇大が私を指さす。

それに、ハッとした。



「前々から俺が先生に言ってたんだ。旧校舎はもう危ないから、人が入らないように潰した方がいいって」

「何でそんなこと!!」

「じゃないとお前、ずっとあそこに行くだろ!!」



勇大は悲しく怒っていた。


怒りたいのは私の方だ。

勝手に旧校舎を潰すよう言うなんて。



あそこには、伊月がいるのに。


旧校舎がなくなったら、伊月はどこに行けばいいの?

誰も伊月が見えないのに。



そんなの、伊月にとって辛すぎるじゃん。







「伊月はもう死んだんだよ!!現実見ろよ!!実和!!」



「嘘だ!!!伊月は生きてるよ!!!馬鹿なこと言わたいで!!!」


「馬鹿言ってんのはお前だろ?!伊月は1ヶ月前、事故に遭って…………」


「嘘ばっか!!!伊月は昨日も私と旧校舎で一緒にお喋りして………」


「頼むから目を逸らさないでくれよ……。伊月は死んだんだ」






「…………そんなの、嘘だよっ」







「あ、ちょ、実和!!!」
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