そして、僕がみえなくなったら
嘘だ!!!

嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!



伊月が死んだなんて、そんなの嘘に決まってる。

だって伊月は昨日も、一昨日も、その前の日も、その前々日も、私と会って話してたもん。


ずっと一緒にいたもん。



伊月が死んだなんて、そんなの嘘だ……っ。





「伊月!!!!」

「実和?こんな昼間からどうしてここに……」



ボロボロの旧校舎。

埃臭くて、床板がキシキシ鳴るこの場所に、ほら、今日も伊月はちゃんといる。


ちゃんと私の目の前にいて、息をしている。



「勇大が変なこと言うから………なんかね、伊月はもう死んだとか、おかしいよね?伊月は生きてるのに……」


「……………」



伊月は悲しそうな顔をした。

どうしてそんな顔をするのか、私にはわからない。



「そ、それよりね、これから旧校舎潰されちゃうんだって……っ。だからね、早くここから出よう!!」



伊月の腕を掴む。

早くしなきゃ。


遠くから、重機の鈍い音が聞こえる。


伊月と手を繋いで、旧校舎の出口へと向かう。



走って、走って、出口が見えて。

そこで、伊月は足を止めた。




「………実和」




私の名前を呼ぶ伊月は、優しく私の手を解いた。
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