呪われ聖女、暴君皇帝の愛猫になる 溺愛されるのがお仕事って全力で逃げたいんですが?
「ロッテ、言い忘れていたがユフェをお風呂に入れてくれ。棚の猫用高級入浴剤を使って構わない」
イザークは壁際にある棚を指さしてロッテに確認するよう促した。
「実は私もそろそろそんな時期だと思っていました。入浴剤をご準備いただきありがとうございます」
「抜かりない。因みに今シーズン発売したばかりの新作だ」
新作という単語にロッテは目を輝かせ、俄然やる気を出す。棚の扉を開けてみると、そこには乙女心くすぐる可愛らしいパッケージの入浴剤が置かれていた。
シンシアは心の中で頭を抱えると延々と叫んだ。
(なんでそうなるのよ!? 自動浄化作用があるからお風呂に入る必要はないし。あと、こんな可愛い入浴剤を持ってるイザーク様とか落差がありすぎる!!)
もうどこから突っ込みを入れれば良いのか分からない。
シンシアが混乱を極めているとロッテが入浴剤を手に取った。
「陛下には感謝いたします。さあユフェ様、綺麗になりましょうね」
満面の笑みを浮かべるロッテに対し、シンシアはこれから待ち受ける苦難に絶望したのだった。