呪われ聖女、暴君皇帝の愛猫になる 溺愛されるのがお仕事って全力で逃げたいんですが?

第2話



「宮殿で話しかけられた時は驚いた。だって心配されているあんたは猫の姿でのうのうと宮殿で暮らしているんだから。殺意を覚えても仕方ないよね? 別にあんたの心臓が手に入ればあとはどうでもいいから、魔瘴核の幻覚を使ってフレイア・フォーレにあんたを殺させるように仕向けたんだけど……残念なことに失敗に終わったよ」
「私を殺すために関係のない人を巻き込まないで!!」

 堪らずシンシアは叫んだ。こんなことにフレイアを巻き込むなんて間違っている。
 ルーカスに憤りを感じていると、彼はこれまでのように憂いを帯びた表情を浮かべて「申し訳ないと思ってる」と呟いた。


「だから今度は自分の手で確実に殺す。聖女が失踪したのは魔王を崇拝して復活させるため、自らの命を捧げにネメトンへ向かったって世間には広めるよ。あんたは歴代最悪の聖女になり、俺は魔王を倒した英雄に、そしてヨハル様は教皇になる」

 ルーカスが魔王を倒して英雄になれば同時に一族への復讐も果たすことができる。しかし、もしそうなったら聖女の邪悪さに気がけなかったヨハルは糾弾される可能性が出てくる。


(普段ならいろんな可能性を考えて行動する人なのに、興奮して盲目になってしまっているんだわ……)

 シンシアは慎重に言葉を選びながら口を開く。

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