呪われ聖女、暴君皇帝の愛猫になる 溺愛されるのがお仕事って全力で逃げたいんですが?
事実を知ったシンシアは、なんだか居たたまれない気持ちになった。主流魔法が使えない状況の中で魔物の討伐など分が悪すぎる。討伐部隊の皆は無事だろうか。
(ううっ、隊長。あの時心の中で嘘つきって叫んでごめんなさい)
ついでに目がガラス玉と罵ったことも訂正する。
頭を垂れて心の中で懺悔していると、キーリが報告を続けた。
「負傷者はいますが幸いなことに皆命に別状はありません。選りすぐりの精鋭部隊なだけはあります」
キーリの言葉を聞いてシンシアは安堵の息を漏らした。
「それで聖女の捜索はどうなっている?」
「詩人がシンシア様だと知った隊長が隊員とともに血眼になって探しています。ネメトンの結界が消えていないので必ず生きているはずです。ただ、最新の情報によれば救護所周辺では見つかっていません」
それもそうだ。くだんの聖女は雷帝の膝の上にいるのだからどんなに人員を割いたところで一生見つからない。
(ここまで心配と迷惑をかけてるなんて知らなかった。こんなの絶対駄目。一刻も早くヨハル様かルーカスに会わなくちゃ!)