呪われ聖女、暴君皇帝の愛猫になる 溺愛されるのがお仕事って全力で逃げたいんですが?
第2話
それから毎日、イザークはシンシアの元に現れた。
会議が終われば本来執務室でやるべき仕事を全て持ち帰ってシンシアの隣で仕事をする。
最初は呆れ顔だったキーリは慣れたのか淡々と仕事の報告をするようになった。
シンシアは長時間イザークと同じ空間で過ごすのは苦痛だろうと覚悟していたが、実際のところは快適だった。
仕事をしている間、イザークは黙々と書類に目を通して書き物をしているだけでちょっかいは一切出してこない。仕事が終わるまでは机にかじりつき、時にキーリや文官を呼んであれこれと指示を出したり、意見を求めたりしている。
終われば撫でにやって来るが、気持ちの良い所ばかり撫でてくるので嫌悪感はない。意地悪をされることもなければ相手をしてくれとおもちゃで誘ってくることもない。
イザークは絶妙な距離感で接してくれていた。
さらに皇帝の仕事は激務であるはずなのに、恐れ多くも食事は全てイザークが作って食べさせてくれる。長生きするようにと栄養バランスを考えた料理が出されるので、彼は心の底から猫が好きなのだと実感した。
そして猫の生活をして早数日、嬉しいことが一つある。