呪われ聖女、暴君皇帝の愛猫になる 溺愛されるのがお仕事って全力で逃げたいんですが?
「ロッテ、今日はまだ体調が優れないだろう。宿舎で休み明日からまたユフェの世話に励むと良い」
その言葉にロッテは目を見張った。
「えっ? でも、あの。私がまたお世話をしてもよろしいのですか?」
瞠目するロッテに対してイザークが微苦笑を浮かべながら口を開く。
「もともと侍女長からロッテの配置換えしてもいいかと尋ねらていたが、それを断ったのは俺だ」
「どうしてですか?」
浮かない顔をしたロッテはすぐに口を開いた。
「僭越ながら陛下、私はユフェ様にお仕えする資格はありません。今からでも配置換えをさせてください」
『えっ。どうして!?』
話が丸く収まったと思った矢先、思いもよらない申し出にシンシアは声を上げた。
ロッテは申し訳なさそうに微笑む。
「正直に力が使えなくなったことを陛下に申し上げるべきなのに、私はランドゴル伯爵の耳に届くのを恐れて画策していました。特にユフェ様には辛く当たってしまって。……これは私ができるせめてもの罪滅ぼしです」
『辛くなんてなかったわ。ロッテの方がずっと苦しかったと思うから。私はあなたのことを怒っていないし、これからも側にいて欲しい』
しかしロッテは首を横に振った。