恋愛境界線

「あ、そうだ。課長、アボカド好きですか?」


純ちゃんが分けてくれたんです、とアボカドが入った紙袋をテーブルの上に載せる。


「純ちゃんというのは?」


「何言ってるんですか、私の友達ですよ」


「知らないよ、君の交友関係なんて」


「あれ?純ちゃんのこと、話してませんでしたっけ?」


豚カツを食べる手を一旦止め、出汁の効いたお味噌汁を一口啜る。お酒を飲んだ翌日のお味噌汁って、どうして沁みるように美味しいんだろう。


「以前、私がビュッフェに行く約束をしてた相手が純ちゃんです。中学で出会って以来、ずっと仲良しなんですよ」


昨日、ご飯に誘われた流れで純ちゃん家に泊めてもらったことも話すと、「そんなに長く君の友人をやっていられるなんて、さぞ忍耐力のある人なんだろうね」と言われた。


そういう課長の恋人だった人こそ、付き合っていた頃はさぞや忍耐力が要ったんじゃないかと思いますけどね……!


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