恋愛境界線
「そりゃあ、君が行った先々で相手に合わせて調子良く引き受けているのなら怒るけど」
今回のことはきちんと責任を持って取り組むみたいだし、と新聞から顔を上げた。
「確かに本来の仕事ではないけれど、けれど、芹沢君には仕事に対する積極性が欠けていると思っていたから、良い機会だとも思う」
図星を指され返す言葉もなく、誤魔化す様にご飯を黙々と咀嚼する。
「君は、確か入社して三年目だろう?」
「はい」
「入ったばかりの新人じゃあるまいし、それで未だに言われたことしか出来ないなんて、私からしてみればそんな部下は不要だ」
……きっつい。もしこれが、ただでさえへこんでる時だったのなら、確実に今視界が霞んでた。
「じゃあ、課長の部下である私は、不要ってことですか……?」
「それを見極める為に、蓮井さんと一緒に君にもチャンスを与えよう考えているところだ」