恋愛境界線

「芹沢君……?君、なんだか眠気に襲われた幼児の様に頭がグラグラしてるけど、既に酔ってるんじゃないのか?」


「はい。まだ一杯目も空けてないのに、頭の中が洗濯機みたいにぐるんぐるんしてます」


瞼が非常に重いと言いますか……と呟くと、「酔ったんじゃなくて、それは眠いってことじゃないのか?」と返ってくる。


「君、最近ちゃんと寝てないみたいだし」


「だって、時間がいくらあっても足りないし、寝たらすぐに次の日になっちゃうから、寝るのが勿体無くて……」


「それでも睡眠はきちんと摂りなさい。寝不足だと頭の回転が鈍って効率も悪くなる」


それに、と言うなり、若宮課長が突然、私の顔に視線を注いできた。


「な、なんですか……?」


余りに真剣な眼差しで見つめてくるものだから、猛烈な眠気に襲われていたにもかかわらず、それが一瞬薄らぐ。


「芹沢君……君の肌、微妙に荒れてるんじゃないか?」


よっ……余計なお世話なんですけど!!


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