恋愛境界線
プリンタの作動音が止まり、蓮井さんが椅子から立ち上がる。
「じゃあ、これでお願いします」
データをプリントアウトし終え、それを私の方へと差し出してくる。
そこには二人で考え直したパクトケースのデザインがプリントされていた。
「有難うございます。早速明日にでも提出して、今度こそ絶対に納得させてみせます!」
蓮井さんが、「うん。よろしくお願いします。今度こそ気に入って貰えると思う」と微笑む。
「これで文句を言うようだったら、こっちが文句を言ってやりますよ!」
それくらい、今回のデザインには私も蓮井さんも自信がある。
それじゃあ、今まではそうじゃなかったのか、と訊かれたら答えに困るところだけれど。
決して、今までの案に自信がなかったわけじゃなくて、今回の案はとりわけ私が個人的にすごく気に入ってるし、客観的に見ても文句のつけようのないものに思えた。
もしこれが却下されたら、今度こそ完全にお手上げ状態になってしまうほどに。