恋愛境界線
わ、わわわっ!ついに、若宮課長にオッケーを貰えてしまった。どうしよう、嬉しい……!!!
「あっ、えっと、コスト計算は、すみません、まだです」
「詰めが甘い。採用してもらう気があるのなら、そこもきちんと計算しておくべきだろう」
「はい。すぐに!すぐに計算します!」
「週明けに合同会議があるから、正式に決定するとすればその時だ。それまでに諸々、抜かりなく準備しておくように」
「はいっ!!」
若宮課長に「これは君が管理しておきなさい」と言われて差し出されたデザイン画を、お辞儀をしながら受け取る。
「──よくやったな、ご苦労様」
顔を上げた時には、若宮課長の視線はもうデスクの上にある書類に向けられていて、聞こえた声は気のせいだったのかもしれないと、一瞬そう思ってしまいそうになったけれど。
掛けられた声は心なしかいつもより優しく響いたから、気のせいにしてしまうのは勿体ないと思った――。