恋愛境界線

「見逃せって何だよ。こっちはわざわざ忙しい時間を割いて会いに来てやったんだぞ?」


「いや、頼んでないし」


「何だって?」


「あーもうっ!ちょっと、こっちに来て!!」


こっち!と渚の袖を引っ張って、喫煙コーナーがあるフロアの奥へと移動する。


幸い今は煙草を吸っている人も居なく、ここなら人目にもつかない。


「お前なぁ、マンションで火事があったって聞いて、こっちはどんだけ心配したと思ってんの?」


「でも、私の部屋は二次被害っていうか、水浸しになっただけで、怪我とかはなかったし」


「純に電話したら、お前は今、他の友達の所にいるって言うし。片っ端から色んなヤツに電話したんだけど?」


しちゃったんだ……。


まぁ、私の交友関係なんて渚と被りまくりだから、造作ないことだろうけど。


それにしたって、相変わらずストーカー気質というか、なんというか。


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