恋愛境界線
「用はもう済んだので、私はもう戻ります」
私がそう告げると、渚からは不満と苛立ちが綯い交ぜになった視線が。
若宮課長からは、「後で来週の会議の予定を各部署に連絡しておいて」との命令が返ってきた。
若宮課長が現れてくれて助かったのは事実だけど、渚と一緒の所を見られたのは最悪だ。
そう思いながら、これ以上ややこしくなる前に、そそくさとその場から立ち去る。
後を追う様に出てきた渚が、いい加減時間がないといった様子で足早に私を追い越して行く。
すれ違いざまに「今夜、何が何でも時間空けとけよ」と、脅迫紛いの低音ボイスでボソリと囁いた。
その後、約束通り支倉さんとパスタを食べに行ったけれど、美味しかったはずのパスタも、さっきの出来事の所為で食事に集中できず、憂鬱な気持ちで埋め尽くされた。
あー、もう……。今夜はどうしよう。