恋愛境界線

「ちょっ、何、戻るマンションはないって。どういう意味!?」


「そのままの意味。あのマンション、住んでるのは遥でも、契約の名義はおじさんだろ?」


そう、実は私の住んでいるマンションは、元々は父親名義で借りていた物だ。


「だから、火事の件があっておじさんにも連絡がきて、そこから更に俺に連絡がきたんだよ」


その流れも判る。


一人暮らしを反対された際、うちの父から絶大な信頼を寄せられている渚に頼み込んで、遥のことはちゃんと責任を持って面倒をみますからと、渚は私と一緒に父を説得してくれた経緯があるから。


だから、あんなことがあって渚にもうちの父から連絡が行った、という流れまでは判る。


お蔭で、渚に今回の件を真っ先にバラしたのは、純ちゃんじゃなくてお父さんだってことも判った。


「で!?」


「で、おじさん的には色々思うところがあったみたいで、これを機にあのマンションは解約するって言うから、その処理を諸々と引き受けて解約が完了したってわけだよ」


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