恋愛境界線
「ばっ……馬鹿じゃないの!?何でそんな大事な事、私に一言の相談もないのよ!?」
「相談も何も、何度かけても電話に出ねーし、第一、そっちだって今回のこと、俺にもおじさんにも黙ってたんだから、お互い様だろ」
「しっ、信じらんない!純ちゃん、有り得ないよね!?」
デザイン案の件で、マンションに関する雑事をすっかり忘れていた私も私だけど。
だからって、これはあんまりだ。横暴だ。断固として意義を申し立てる!意義あーり!!
息巻く私とは対照的に、純ちゃんはどこまでも穏和にニコニコと微笑んでいる。
「いっそ、渚と一緒に住んじゃえば?どうせ、遥の家具も渚の所にあるんでしょ?」
「とりあえず、一旦うちに運ばせたけど、部屋も余ってることだし、このままうちに来てもらっても俺は構わない」
「私が構うから!!どうして、渚と一緒に暮らさなきゃいけないのよ!恋人同士でもないのに、おかしいでしょ!?」
「恋人ではないが、許婚ではあるわけだし、別に問題ないだろ」
そう言って渚は、あぐらをかいていた足を崩し、片膝を立てた状態で背後の壁にもたれ掛かった。