恋愛境界線

「ってことは、深山さんもそのお店を利用する可能性があるんですよね?」


深山さんとの関係について色々と詳しく訊ねたい気持ちを堪え、「そんな場所に私が行っても平気ですか?」と、あくまで自然な会話を心掛ける。


だって、もし偶然にも深山さんが現れて、私と課長が二人きりでご飯を食べてるところを見られたらまずいだろうし。


「深山くんの家は逆方向だし、それに今日はまだ週初めだから、週末と違って誰かと飲みにくる確率も低いだろう」


「はぁ、そうですか……」


家の方向まで知ってるときましたよ、この人。


こうなってくると、既に家にまでお邪魔済みなのでは?とか思えてくる。


今日は無礼講と称して、その辺のことをじっくりと聞かせてもらうことにしよう。


若宮課長と並んで路地へ出てた直後、見慣れた車と人物の姿がそこにはあった。


「なっ……!ななな」


「芹沢君……?突然変な声を上げて、今度は一体どうしたと言うんだ?」


その人物と課長を交互に見遣っていると、若宮課長もそこに居た人物の姿をすぐさま捉えた。


「君は……、緒方君?」




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