恋愛境界線
若宮課長は、ソファの背もたれ部分に頭を預けると、ぼんやりと天井を見上げた。
「何だろうな……君が、純君とか緒方君とか、他の男の人の元に転がり込むことを思ったら、無性に腹立たしい気分になった」
表情同様に、ぼんやりとした口調でそう呟く。
「はぁ……。って、えっ!?つまり……それって、ヤキモチですか?」
「なぜそうなるんだ。私はただ、男だろうが女だろうが、異性関係がだらしない人間は嫌いだというだけで、君は泊めてくれるのなら、相手が男だろうが何だろうが、誰でもいいのかと思ったら、そのだらしなさに腹が立ったと……つまりは、それだけの話だ」
「はぁ、左様ですか……」
でも、私は男関係にだらしなくないと思う。なんたって、これまで経験値ゼロですから!
……って、今ここで声を大にして言えることじゃないけど。
「そもそも、君は私の所にこうして平然と転がり込んできたことといい、無防備と言うより節操がないんじゃないか?」
今更?今更ですか?住まわせてもらって半月以上経った今頃になって、それを言います?
「お言葉ですけど、課長!そんなことは断じてありません!!」
「どうして、そう言い切れるんだ?」