恋愛境界線
ゆっくりと起き上がり、室内を見渡す。
シックなグリーンのカーテン、きちんと判型別に収納されている本棚。
無駄な物が置かれていないPCデスクに、無駄に大きいこのダブルベッド。
どれ一つ取っても、全く見覚えがない。
「わっ……!」
思わず声を発してしまった口元まで、勢い良く布団を引っ張る。
落ち着け、落ち着け。
朝起きたら知らない部屋で、しかも下着姿とか、今時ドラマでだってこんな展開はないと思う。
何、これ。まだ夢の中?
それにしては、ドクドク鳴っている自分の心臓の煩さとか、妙にリアルだ。
「ひっ……!」