恋愛境界線
scene.12◆ 知らないフリなんて出来ない
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「──というわけで、もうしばらくの間、若宮課長の所でお世話になることにしたから」


天気の良い日曜日の昼下がり、久しぶりに訪れた渚のマンションの一室で渚と対峙し、当面は現状を維持することと、それに至った経緯を簡単に説明した。


晴れやかな天候とは裏腹に、渚は不機嫌モード全開で、さっきから、ものすっごく私を睨んでいる。


「遥さぁ……、口の端に青のり付いてる。すっげー気になんだけど」


睨んでいたのは怒っていたからではなく、私の口元に付いている青のりが原因だった模様。


右か左か判らず、とりあえず唇の両端を舌でペロリと舐める。


「どう?取れた?」


「……取れた」


取れたというのに、渚の眉間のシワは健在で、なぜか不機嫌モードが直らない。


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