恋愛境界線
「でも、リュミナリストの時は一度きりで済んだけど、今回はまだ何かあるかもしれないわ」
そう考えると不安なの……と、吐露する支倉さんの声には、その言葉通り不安が滲んでいる。
つい最近、どこかで似た様な言葉を耳にした気がする。
……そう!あれは渚と一緒にいた時だ。
『今回のプロジェクトはさ、前回以上に大きなプロジェクトだし、今後もまたこういうことが起こらないとも限らないだろうから、気を付けろよ?』
問題が起きた前回のプロジェクトっていうのが、確か――。
『若宮さんが《リュミナリスト》のプロジェクトに携わってた時だから』
支倉さんもさっき『リュミナリストの時は』って、同じプロジェクト名を口にしていた。
頭の中のパズルがどんどん埋まっていって、そして辿り着いた最後のワンピース。
『──あぁ、そういえば。前回、スチルの件で責任を負ったのって、確か若宮さんの婚約者じゃなかったかな』