恋愛境界線
女性に興味はない若宮課長に、例え気の迷いだったとしても、結婚まで考えさせた支倉さん。
一体、支倉さんの何がそんなに課長の心を捉えたんだろう?
容姿、性格、雰囲気。
支倉さんの場合、どれを取っても魅力的で、こんなことを考える方が馬鹿らしくなってくる。
そんな支倉さんでも駄目だというのだから、若宮課長の理想は相当高いんじゃないかと思う。
「で、君はいつまでここでサボっているつもりなんだ?」
「サボる?失礼なっ。サボってませんよ。ちょっと考え事をしていただけです!」
「考え事ねぇ。君のことだ、どうせ今日の夕飯のことでも考えていたんだろう?」
こうなったら、面食いな若宮課長の今日の夕飯は、お手軽に麺類にでもしてやろう。面食いなだけに!
「これ以上、課長に嫌味を言われる前に仕事に戻ります。色々と失礼しました!」
結局、若宮課長にお礼を言い忘れたと気が付いたのは、自分のデスクに戻ってからだった。