恋愛境界線
「って言っても、渚が酔った拍子にポロっと零しただけで、詳しいことまでは知らないんだけどね」
純ちゃんの声に耳を傾けながら、手早く送信ボタンを押し、スマホをテーブルの脇に置いた。
「……私の方こそ、ごめん。純ちゃんには、ちゃんと自分の口から話すつもりだったんだけど」
「遥のことだから、次に住む場所を見つけて、全ての事が済んでから報告するつもりだったんでしょ?」
責める風でなく、ちゃんと判ってるよって、理解を示してくれている口調で純ちゃんが言う。
「うん。それに、誰にも言わないって約束だったから……」
「──好きなの?その人のこと」
「へ?」
どうして急にそんなことを訊ねられたのか判らず、「何で?」と逆に訊き返す。
「好きだから、渚じゃなくてその人の所に居るのかなって思って」
「ち、違うよ!なんていうか、流れでそうなっただけで」