恋愛境界線
「そういえば、以前純ちゃんがくれたアボカド、ディップにして食べたら美味しかったよ」
「へぇ、それも美味しそう。遥が作ったの?」
「ううん。若み――う、うん!うん、そう!!私」
若宮課長が、と正直に答えたら面倒なことになりそうな気がして、無理やり答えを途中で軌道修正した。
でも、この二人のことだから、逆に今ので私が答えようとしていたことが察せられたはず。
「渚はアレだね!肉食系だから、食べる物までお肉なんだね」
くるっと横を向き、「でしょ?」と渚に訊ねる。
さっきのことに関して、ツッコミを入れる隙を与えない様に。
「は?何だよ、急に……」
「いやー?渚は肉食系に見えて、肝心なところでヘタレだからねぇ……」
そう言った純ちゃんが、上目遣いにチラッと意味深な目で渚を見上げた。