恋愛境界線
「純ちゃん、それってどういう意味?」
「ん?それはね、肝心なところで押しが弱いって意味だよ、遥」
純ちゃんが優しく微笑みながら、小皿にソンタンを取り分けてくれる。
「純、煩い。メシ食う時くらい、黙って食えよ」
そう言って、渚が横から意地汚く私の小皿を奪い取った。
むぅ、と口を尖らせながら、渚の手にある小皿を奪い返す。
「黙って食べたら、こうして皆で集まって食べる意味ないじゃない。ホント、何で来たの?」
「だってよ、渚。遥にはハッキリ言わないと判んないんだから、言っちゃえば?」
何を?と訊く前に、「遥に会いたかったからだ、って」と、純ちゃんが言葉を続けた。
「そうなの?同じ職場だっていうのに、わざわざ外でも会いたいとか、どんだけ?」
「どんだけって、何がどんだけなんだよ?大体、同じ職場つっても、互いに顔合わせることなんてないだろ」