恋愛境界線
「ってか、渚と顔を合わせても、特に話すことがないしね」
「そういうことじゃねーだろ」
「じゃあ、どういうこと?」
渚の返事を待たずにソンタンを口に運び、純ちゃんに「美味しいね」と話し掛けると
「そうだね。私的には、今日はお酒の肴の方がオイシイけど」
そう言って、にこにこというより、にまにました感じでこっちを見ている。
「そうだ、お酒といえばワインもいいけど、タイのビールってまだ飲んだことないから頼んでみない?」
シンハー、クロスター、チャンと、三人三様にあえて別々のラベルをオーダーする。
一口ずつ回し飲みをした後、クセのあるシンハーは渚、軽い口当たりのクロスターは純ちゃん、残りのチャンが私に落ち着き、それらのビールと一緒にゆっくりとタイ料理を味わった。
「私、もうお腹いっぱい。渚も遥もこれ以上は食べられなさそうだし、そろそろ帰ろっか」