恋愛境界線
何でこんなに気まずい雰囲気になるんだろうと思いながら、不承不承メールを開く。
件名には【若宮です】
そして、本文にはどこまでも若宮課長らしさが溢れていた。
【友人とプライベートな時間を過ごしている時にメールをしてすまない。
出来れば、帰りに食パンと牛乳を買ってきて欲しい。
他に、何か君が食べたい物があれば、お駄賃代わりに一緒に買って構わないから。】
ご飯を済ませて帰る際、私の方から何度かメールを送ったことはある。
だけど、若宮課長の方からメールを貰うのは、これが初めてで。
絵文字も顔文字も一切ない文章。
本題に入る前の断りの文章も、最後の一文も。
どれもがすごく若宮課長らしい、と思う。
ってか、お駄賃代わりって……。子供じゃないんだから。
一瞬、二人が一緒なことも忘れて、ふふっと、思わず笑みが零れた。