恋愛境界線

そして、現在


その《リュミナリスト》と、我が社のポイントメーキャップの主力ブランドである《アンジュエ》を統合させ


トータルメーキャップブランド《クレアトゥール》を立ち上げるという一大プロジェクトを任されているのも、若宮課長その人。


我が社で花形と呼ばれている商品企画部に籍を置く私も、この会議に参加させてもらってはいるけれど、会議中の発言はほぼ皆無で、“参加”というよりも“見学”に近い状態だったりする。


そんな今の私と僅か一歳しか違わない年齢の時に、看板ブランドのリニューアルを成功させた若宮課長は、改めて本当にすごい人だと思う。


若宮課長たちが出て行った会議室のテーブルや椅子を簡単に整えてドアを閉める。


腕時計を見れば、長針と短針がちょうど12の数字に重なるところだった。


「芹沢さん、もしかして今からお昼?」


そう声を掛けてきたのは、このプロジェクトで広報を担当する支倉(はせくら)さん。


年齢は私と同じ二十代で、私より年上であることは知っているけれど、詳しい年齢までは判らない。


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