恋愛境界線
ブルベメイクに、ふんわりと緩めのボブヘアが似合っていて、その見た目から受ける印象通り、芯が通った性格なのに物腰は柔らかい。
可憐で清楚、そんな言葉が違和感なく似合ってしまう女性で、社内には支倉さんに憧れる人は男性のみならず、女性も多いと思う。
今回のプロジェクトメンバーの中で一番年齢が近いということもあって、初顔合わせの時、私が一番最初に言葉を交わしたのが支倉さんだった。
「はい。ちょうど12時だし、そうしよっかなって。支倉さんもですか?」
「うん、そう思ってたところだったから、もし良ければ一緒にどうかなと思って」
お昼は各々仕事のキリが良い時に取ることになっている為、いつも同期の子と一緒に取れるとは限らない。
だけど、未だに一人でのランチには慣れず、誰かと一緒の方が断然楽しい。例えそれが、他の部署の先輩でも。
そう思って、「ぜひ!」と答えると、「芹沢さんって、いつも元気なイメージよね」と支倉さんに笑われた。
「それで、芹沢さんは今日、お昼は外?」
「今日は一人だし、社食で良いかなって思ってたんですけど、私はどっちでも良いので、支倉さんに合わせますよ?」
「うーん、じゃあ今日は社員食堂にしよっか。私、社食って久々だし」