恋愛境界線
一体、何をどう解釈すれば、そんな考えに辿り着くんだろう?
「そういうわけじゃないですけど……」
「へぇ?てっきり、あのグリンピースは、“自分はシュウマイしか食べてないのに”アピールなのかと思ったよ」
「どうして、私がシュウマイしか食べてないって判ったんですか!?あ、いや、サラダも作りましたけど」
焼き上がりを知らせる音を立てたトースターから、課長が呆れた表情でパンを取り出す。
「あのね、君が食事した皿やお椀を片付けたのは誰だと思ってるんだ?」
ほら、と言って、若宮課長がパンを載せたお皿を差し出してくる。
「……重ね重ねご迷惑をお掛けしました」と言いながら、王から下賜された物の様に、恭しくそれを受け取った。
「君から迷惑を被るのは、いい加減慣れたけどね」
はい。私もこうやって課長から嫌味を投げつけられるのにも、いい加減慣れましたけど。
「だからといって、それを甘んじて受け入れられるかって言うと、それはまた別、なんですよねぇ」
しみじみとした口調でそう洩らすと、課長からは「よく判ってるじゃないか」の言葉が返ってきた。