恋愛境界線
変わってる、と思われる分にはまだ良い。
けれど、もし、私が若宮課長のファンだと勘違いされてたらどうしよう……。
そんな一抹の不安を残しつつ、エレベーターが一階のロビー到着した所で深山さんとは別れた。
今日も夕飯は一人だし、と出来合い物をいくつか購入してマンションへ帰る。
ここに来る前まで、一人で夕食を済ませることは当たり前で、何てことなかったのに。
なのに、今はそれが酷く寂しく感じる。
「……そうだ!」
自分の部屋からケージをリビングへと移動させ、ハムと一緒に夕飯を摂ることにした。
……他人から見たら、こっちの方が余計に寂しい人間に見えるかもしれないけれど。
私は出来合い物。ハムには、私のお手製ペレット。
「何だか逆な気がしないでもないけど、自分の為だけに料理する気になれないし、仕方ないよね?ハム」