恋愛境界線
私がチャーハンとスープ、サラダのセットに対して、支倉さんは焼き魚定食。
それだけでなく、更には普通サイズのうどんまで載せている。
華奢な外見から勝手に小食のイメージを持っていただけに、密かに私も驚いたのだけれど、支倉さんは他の子たちから向けられる視線に、「そうなの」と照れくさそうに答えた。
「私、男の人並みに食べるから、よく引かれちゃうのよね」
困ったように笑みを浮かべつつ支倉さんは箸を手に取り、早速うどんから手を付け始める。
こういう人の場合、むしろそのギャップに惹かれる男性の方が多い様な気がするんだけどなぁ……。
そう思いながら、私も「いただきます」と、スプーンを手に取る。
「痩せの大食いって、支倉さんみたいな人のことを言うんですね」
「それでそのスタイルとか、本当に羨ましいです!」
目の前で一通りそんな会話が繰り広げられると、次に話題は先週の飲み会のことに移った。
「そういえば、芹沢さん。先週の飲み会で酔っ払ちゃったんだって?若宮さんと何かなかったの?」