恋愛境界線
好きじゃありません!と、突き返したいけれど、既に好きだと言ってしまった以上はそうもいかなくて、ヤケになって蓋を剥がす。
こうなったら一刻も早く、目の前からこのチョコレートプリンを消し去るしかない。
一緒に入っていたプラスチックのスプーンで、いつになく大きく掬って口に入れた。
「そんなに好きなんだな、それが」
私が好きなのは、チョコレートプリンじゃなくて若宮課長なんです!!
心の中で反論しながら無言で若宮課長を睨むと、若宮課長は僅かに口元を緩めている。
がっついて食べている私を笑ってるんだと思ったら、虚しいを通り越して悲しい気持ちになった。
「……若宮課長、最近頻繁に支倉さんと会ってるみたいですけど、どんな話をしてるんですか?」
「そんなこと、君には関係ないだろう」
別にそんなにムキになる様な質問でもないはずなのに、若宮課長は私の問い掛けに、途端に表情を硬くした。