恋愛境界線
scene.17◆ 今日だけは見逃して
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最近では、自分と課長の間に溝とまではいかないまでも、若干の距離を感じてしまう。
そう感じてしまうのは、私自身が距離を取ろうとしているからだけど。
若宮課長もそれを感じ取ったのか、単に就業時間中だから仕事に徹しているだけなのか、気が付けば、私と課長は仕事上必要最低限のことでしか会話を交わさなくなっていた。
例えそれが、周囲に他の人がいなかった場合でも変わりはなかった。
「──あれ?課長、まだお昼入ってなかったんですね。ランチ、行かないんですか?」
私の問い掛けに、顔を上げもせずに視線を手元の資料に落としたまま「あぁ」と答えた課長をじっと見つめる。
「どうかした?他に何か?」
「いえ、何でもありません。……そういえば、出張の時に買ってきたというお酒、どうでした?飲みました?」
「芹沢君、今は仕事中だ。例え休憩中であっても、社内ではそういう話をしたくない」
「……すみません。失礼しました」
自分から距離を取ったくせにに、いざ相手からも距離を取られると、その空いた距離に寂しさを感じてしまうなんて、私は自分勝手で本当にどうしようもない――。
最近では、自分と課長の間に溝とまではいかないまでも、若干の距離を感じてしまう。
そう感じてしまうのは、私自身が距離を取ろうとしているからだけど。
若宮課長もそれを感じ取ったのか、単に就業時間中だから仕事に徹しているだけなのか、気が付けば、私と課長は仕事上必要最低限のことでしか会話を交わさなくなっていた。
例えそれが、周囲に他の人がいなかった場合でも変わりはなかった。
「──あれ?課長、まだお昼入ってなかったんですね。ランチ、行かないんですか?」
私の問い掛けに、顔を上げもせずに視線を手元の資料に落としたまま「あぁ」と答えた課長をじっと見つめる。
「どうかした?他に何か?」
「いえ、何でもありません。……そういえば、出張の時に買ってきたというお酒、どうでした?飲みました?」
「芹沢君、今は仕事中だ。例え休憩中であっても、社内ではそういう話をしたくない」
「……すみません。失礼しました」
自分から距離を取ったくせにに、いざ相手からも距離を取られると、その空いた距離に寂しさを感じてしまうなんて、私は自分勝手で本当にどうしようもない――。