恋愛境界線
「それより、今日はとことん飲むんだから、渚も付き合ってよね!」
最近では外飲みどころか、宅飲みすらしていなくて、久々のお酒だと思ったら徐々にテンションが上がってきた。
電車に四駅ほど揺られ、純ちゃんや渚とも何度か飲みに来たことのある居酒屋さんの暖簾を潜る。
店内に入ると、煙った空気と若干の熱気、それから陽気な喧噪に包まれた。
カウンター席ではなくテーブル席に通してもらい、最初の一杯にビールを頼む。
「渚とこうして外で二人で飲むなんて、すっごく久々だよね」
お通しのナムルをつまみながら、私と向かい合って座っている渚とビールで乾杯した。
「外で食べるっていうと、純と三人で、がデフォルトだからな」
「債務不履行ね、判る判る」
「そっちじゃねぇ。そういうどこで笑ったら良いのか判らないボケを俺に投げてくるな」
久々のお酒に加え、心底面倒くさそうな顔をする渚に、何だか意味もなく可笑しくなってきて、自然と笑っていた。