恋愛境界線
私には、『居酒屋を開拓するのが趣味らしい』としか答えてくれなかったくせに。
支倉さんが相手だと、答え方一つ取っても随分と丁寧で、そんな些細なことにも心がささくれ立つ。
「けど、それって本当に妹さんの為なんですか?実際のところは、妹じゃなくて彼女の為とかじゃないんですか?」
横から荒んだ声で横槍を入れれば、「君は酔っ払いよりもタチが悪いな」と言われた。
それを聞いていた支倉さんが、その場を執り成す様に「そういえば!」と明るい声を出す。
「深山さんと若宮くんって、デキてるんじゃないかって耳にしたことがあって、あの時は内心ビックリしちゃった」
「えっ、マジですか?俺、それ今初めて聞きましたけど、なんていうか……なかなかエグいですね。そんな噂、一体誰が流してたんですか?」
渚の質問に、「えー…っと、誰が言ってたのかまでは忘れてしまったけれど」と、支倉さんが苦笑で誤魔化す。
「芹沢君だろう?どうせ、そんな噂を流す人間は、君くらいなものだ」
「ちょっ、ちょっと待って下さい!何でそこで、私だって決めつけるんですか!?」
元々その話題を最初に口にしたのは、宣伝部の瀬田さん達だというのに。