恋愛境界線

軽く引っ張ったから本気で痛いわけじゃないだろうけど、多少なりとも鬱陶しくはあるはずで、それなのに渚は、なぜかさっきよりも機嫌が良くなっている。


「そういえば、遥が観たいって言ってた映画、もうBlu-rayで出てたから買っといたんだけど?」


「ホント!?うわっ、すっごい観たい!抜け駆けしてないよね?」


「してねーよ。したら、お前(うるさ)そうだし」


そりゃあ煩くもなるってものだ。渚が私よりも先に観ると、私が観ている時にネタバラシをしようとするのだから。


『言わないで!』と、私が嫌がる様を見て楽しむサイテイな男なのだ。


「いつ観る?私はいつでもいーよ」


「俺としては、その前に遥の荷物を、先に何とかして欲しいんだけど」


「ごめんごめん。その内、ちゃんと片付けるから」


「その内、じゃなくて今日にでも片付けるくらいの気持ちを持って欲しいんだけど?」


ごめん、渚。私は今日、純ちゃんのところにお泊りするつもりだから無理です。


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