恋愛境界線
課長の側に居たせいで、いつの間にか好きになってしまったのならば、課長に関わらなければ、この気持ちも薄れていくと思ったのに、全然薄れそうもない。
好きで、好きで、どうしようもない気持ちが苦しくて、それを誰かに話してしまいたいけど、こんなことを渚には話せない。
張り裂けそうな胸の内を、純ちゃんに聞いてもらいたい。
だから、渚ごめん。今日だけは見逃して。
今にも溢れ出しそうになる涙を必死に堪えて、純ちゃんのマンションへひた走る。
純ちゃんに話してスッキリしたら、そうしたら、若宮課長のことはもう本当に忘れる。
若宮課長のことなんて何も知らなくて、上司としてしか意識していなかった頃の様に。
もう心を揺さぶられることのない様、今度こそこの感情にきっぱりと境界線を引くから――。